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キトサンの健康食品としての規格基準

平成7年6月1日、日本健康 ・ 栄養食品協会は「キトサン加工食品、キトサン含有食品」に対し、「規格基準」を公示しました。 昭和61年3月 (1986年)、日本で初めてカニ殻末(キチン・ キトサン含有)健康食品が誕生して約10年。 行政サイドによる作業部会設立から1年を経て、ようやく「規格基準」の公示の運びとなりました。1995年6月22日(木)、名古屋東急ホテルにて開催された「'95キチン・キトサン協会講演会名古屋大会」で、日本化薬滑J発部長の坂本廣司氏が当時を振り返りました。


キトサン、科学的・歴史的に生体に対して有用性があるから選ばれた

日本化薬という会社は、主に医薬品を作っているメーカーです。我々は以前からキトサンを手がけており、工業用のキトサンから始まり、10年ほど前から食品への応用の開発をおこなってきました。

今日はその中で、キトサンのコレステロールの人体における研究結果を報告させて頂きます。

また、その過程で、健康食品の規格基準の作成作業にも参加させていただきましたので、それをメインにお話したいと思います。

現在3 つのマークの食品が厚生省管轄にあります。一つはジャファ(JHFA)マークで、これは健康食品のマークです。

そして、ジェー・エス・デイが加工食品の栄養成分に認定された食品についているマーク。それから、特殊栄養食品に表示されるマーク。

特定保健用食品は、いわゆる食品の中で医学的な機能を言える食品です。

例えば、血圧とかコレステロールとかいう言葉が使えるわけです。そうした表示ができる食品につけるマークです。本日はジャファ(JHFA)マーク、いわゆる健康食品についてお話しします。

健康食品というのは、厚生省の指導の下で作られている食品です。日本健康・栄養食品協会が厚生省生活衛生局食品保健課の指導の下に厚生大臣の許可を得て設立という経過を経て、今年で10年目になります。

健康食品はだいたい5000億くらい売上があると言われています。そのうちの6割がジャファマークを取った食品です。

ではどういうものがジャファマークを取った食品かと言いますと、1番目は栄養成分補給食品、これはいわゆる栄養成分の補給食品です。2 番目に、科学的または歴史的に生体に対する有用性・生理活性等がある、これはどちらかというと医薬品的な役割をするものですね。

3 番目は上記1 、2 に該当するものではなく、販売量が多く、社会的に健康食品として認知されているもの。という3 つの基準の中から規格が作られます。

ではキトサンはどこに入るのかと言いますと、私はまず科学的・歴史的に生体に対して有用性があるから選ばれたんだろうと思います。



コレステロールの面でも良いことが証明された

ところで、今、健康食品と認められているものがいくらあるかと言いますと、つい最近まで全部で41 品目ありました。

ところが今回キトサンとプロポリスが入りまして、43まで来ました。この43 の所にキトサンがはいったわけです。

こう見ていきますと、なんでもないような物も結構あります。例えば小麦胚芽油、いわゆるビタミンE の含有食品ですね。EPA・DHA 、レシチン、それからコイ加工食品とか、カキとか、シジミとかいう、本当の食品のような物もあります。

確かにいろんな範囲の広い物がありますが、いずれにしても健康食品と言われるからには規格基準がありまして、摂取量とか食べる量の範囲とかがあります。

実は、この日健協の規格を作るに当ってどういうことがあったかと言いますと、我々はコレステロールの研究をしていた訳ですが、約2 年前の春に臨床試験のデータを報告しました。

その頃、非常に健康食品、特にキトサンがブームになりまして、ちょうどその頃、臨床試験が出たということもあり、やっぱりキトサンは人体に有効だなと、コレステロールの面でも良いことが証明されたということで、よけいに拍車がかかったのではないかと思います。

その頃、ちょうど厚生省もキトサンについて規格基準を作ろうという気運があったんだろうと思います。ちょうど我々は特定保健用食品の成分の規格基準が認められたところだったのですが、健康食品の規格基準をつくらないかという話が協会から出てきました。それではやりましょうということで、みんなに参加を求めたのです。

結局、健食メーカー、製剤メーカ一、販売会社の35社が集まりまして、作業部会というのが始まりました。いろんな幅の広い人達が集まったわけで、最初はどのような基準を作るか戸惑いました。

キトサン原料、規格が厳しく決められている

ます、適応範囲はと言いますと、この規格基準はキトサン加工食品及びキトサン含有食品であって、形状が粉末状、頼粒状、粒状、ペース卜状または品質保持のためのゼラチン等で被包したものに適用する、ということですから一般的にパン、スープとかに入れた物はこれに適用されません。

それから原料として使うキトサンの定義なんですけれども、食用に供すべくカニまたはエビを原料として、水酸化ナトリウムの水溶液で脱タンパクし、希塩酸溶液で脱カルシウムして作ったキチンを、さらに濃水酸化ナトリウム水溶液で脱アセチル化してできたキトサンを使うんだという規定ができております。

脱アセチル化度といいますが、キチンからキトサンになる比率ですが、80 % 以上で、そういう一種の純度と考えてもらっていいのですけれども、非常に厳しい規格になっております。ですから、カニまたはエビの原料でないと健康食品には使われません。

例えば、今はイカからもできるわけですね。イカの軟骨にもあるし、キノコだってあるわけです。もちろん昆虫にもあるわけです。そういうものから取れたキトサンは今のところは使ってはいけません。

将来、今のカニ・エビと同等であると証明が出来た時点では使えるようになるでしょう。といいますのはキトサンは安全なものであることは確かですが、実際に安全性試験をやって確かめられたのは、カニ及びエビしかありません。そういうことで、ここでは規定されています。

そこで、今後健康食品で表示する場合は、原料のキトサンの由来を表記しなければいけません。例えばカニ由来とか、エビ由来とかです。これが必須になっています。

それからキトサン加工食品とキトサン含有食品とふた通りある訳ですが、そのキトサン加工食品とはキトサンを50 % 以上含有しているもの。

例えば、錠剤のようなものがこれに当たると思います。粉末もそうです。粉末は100 % であるわけですが、それでも結構です。

それから含有食品というのはそれ以下で、キトサンが10〜50 % 未満のものです。これを含有食品と称します。これは今出ているカプセルが該当すると思います。健康食品の場合は10 % 以上含まれてるものが一般に販売されて、ジャファマークが取れるということです。

ただし、ジャファマークを取るためには製品、原料で使うキトサンの規格がさらに厳しく決められております。製品としては外観、性状が異味、異臭がない、もちろん異物があってはならない。

それから確認試験でキトサンがあることが確認できるもの。キトサンの含有量が表示以上であるもの。一粒に何ミリとか何%とか表示しなければいけないわけですね。

実は含有量の表示のところで出てきますが、一日の摂取量というのが決まりました。それで表示がもちろん必要となって来るわけですが、一日あたり300 ミリ〜500 ミリを目安に食べろということが、これには出てきませんけれども、内々には、決まっております。

ですから、例えば一粒の中に50 ミリキトサンが入っていたとしますと、摂取の目安量として一日あたり6 粒から10粒と、そんなことを表記するようになっております。

それからゼラチンを使うわけですけれども、ゼラチン等の被包料重量は一粒中全重量の50 % 未満ということに決まったわけです。

これはあたりまえのことですが、食品としてヒ素を2ppm 以下、重金属を10ppm 以下、一般細菌が3×103 個/g以下、大腸菌が陰性と決められておりますが、原料のところでもう一度説明させていただきます。

科学的な製造面からも非常にケアして作られる

実は、今までこの規格ができるまでは、食品用のキトサンという規格は全然なかったわけで、いろんなキトサンが出回っていたというか使われていたということです。工業用としてしかなかったわけですね。

ですから分析してもキトサンが出てこなかったこともあるでしょうし、非常に不純物を含んでいる。重金属を含んでいるとか、分析してみましたらいろんな事がわかってきたわけです。これではいけないということで、次のような原材料の規格が決まりました。それについてご説明します。

まず、キトサンはカニ・エビからつくられないといけない。外観は白から淡黄色褐色であること。それから、ここで粘度というのが出てきました。これは今まであまり規定されていなかったことです。

キトサンは水には溶けませんが、酸性の溶液に溶けるわけです。人が食べた場合に口腔内では溶けませんが、胃の中で酸性になると溶けるわけです。これで粘度を呈するわけです。

それからいろいろな良い働きをするのですが、粘度をここでは100 ミリパスカルと言いまして、非常に高い粘度で規絡が決まりました。

粘度が高いと言うことは分子量が高く、高分子になっているということです。これは非常に厳しい規格であるといえますが、理由は、今まで市販されていたのは非常に粘度が低いものが多かったと思います。

今回の規格の100 の値に対して10 とかです。これはどうしてかと言いますと、カプセルにする場合は、キトサンを微粉にしなければいけないのですが、微粉にするのに分子量が非常に高く固いものはやりにくかった、粉砕しにくかったのです。

これは知っててやったのか知らずにやったのか分かりませんが、過酸化水素のようなものを使いましてキトサンに振りかけまして、それでそれを粉砕しますと、過酸化水素で分子量くずれて粉々になり、非常に粉砕しやすくなるのです。

こういうものを食品を作るときに使うとたいへん良くないのです。過酸化水素を使うと100 ミリパスカルという高分子はできないのです。そこで過酸化水素を使うのを防ぐために、粘度を高くしなければならない。

これは過酸化水素をキトサンに作用させると分解するわけですが、何ができるか分からない。危険なものができる可能性だってあるわけです。そういうための防御です。これは非常に丁寧にキトサンを作っていかなければならないということです。

それからヒ素1 ppm 以下、これは海産物には非常にヒ素が多いのですが、幸いキトサンは酸とアルカリでいろいろ脱タンパク、脱カルシウムしますから、1 ppm 以下になるのです。これも普通の食品としては厳しい値です。

それから次に総クローム、10ppm 以下という規格ができました。キトサンを作るときにはステンレスタンクで作るんですけれども、強アルカリを使うのですが、それが作用するときにステンレスが浴けだしてくるわけです。

実は分析してみますとクロームが今までの工業用品的なものでは20 とか30ppm くらい含まれている。食品原料でこんなにあっては大変だということで、これも規制されました。そういう科学的な製造面からも非常にケアして作らなければいけなくなったのです。

これで安心したキトサンとして活用できるのです。これはだいたい今後、食品用のスタンダードになるのではないかと思います。もちろんこれも厚生省が望んでいるところでもあるわけです。

キトサンでコレステロール値が低下、善玉コレステロールは上昇

こういう規格を作って最後はいろいろな専門家に見てもらいます。食品添加物、栄養学とかの専門家が全部資料を見まして根拠とか安全性とかを見まして、作業を始めて1年半かかったのですが、我々に声がかかったときには急いでいまして、これを6 ヶ月くらいでやろうということで始めたのですけれども、結局、今のような作業をやっていきますと、非常に時間がかかりまして、1年半かかったということです。

これだけしっかりしたものを作っておけば、今になってみれば良かったんじゃないかと思います。あとはもう安心して使って頂ければ良いということです。

次に、我々のやってきましたコレステロールのことについて、報告させて頂きます。
皆さん、最近国民栄養調査というのが厚生省から発表されたのをご存知かと思いますが、簡単に説明します。皆さんも最近、加工食品を食べることが多いと思います。

食品の洋風化ですね。実は、エネルギーの栄養摂取量が、脂肪で、全エネルギーの25.7 % 取っているということが、この間の報告でありました。

日本人は昭和30年代は、脂肪で全エネルギーの8.7 % しか取っていなかったのですね。ところがだんだん多くなりまして、今は25.7 です。今、厚生省は25 以下に指導しようといているのですが、なかなか止まらないのです。アメリカあたりは30 % ぐらいまで行っています。これがいろんな成人病の原因になるわけです。

我々は、コレステロールに興味を持っているので申し上げておきますと、各年齢層における男女別のコレステロールが発表されました。例えば、30〜39歳とか70〜79歳までありますが、男性の場合30歳以上から203 以上です。

皆さん、コレステロールの値を病院などで計られて、だいたい自分の数値をご存知かと思うのですが、昔は200 以上だったら、そろそろ危ないと言われていたのですが、今は220以上です。

ところが、男性でも既に30歳から200 を越えているわけですね。それから、女性の場合30 〜39歳は190 ですが、50〜59歳になると229 .5 です。これはもう、何か薬でも飲んだ方がいいのではないかというほどですが、日本の平均値はここまで上がっているのです。

これくらいになってやっと、特に循環器はコレステロールと脂肪には注意したほうがいいのではないかという事が発表されたわけです。

肥満と高脂血症で、コレステロールが上がったり、トリグリセライドが上がったりしますと、だんだん糖尿病になったり、一部では腎疾患になったり、動脈硬化になって血管がつまったりします。

それから一部高血圧にもなります。あとは虚血性心臓疾患で、心臓に栄養がいかなくなったり、今一番多いのは脳血管障害です。脳梗塞が多くなって死に至るということになるわけで、ここで注意しないと大変なことだということです。




我々は、10年くらい前からキトサンを入れたビスケットを作って売ってきました。それだけではだめでして、やっぱり特定保険用食品の認可を取ろうということで、4 年くらい前に臨床試験、というより摂取試験といったほうがいいのですが、人をつかったコレステロールの代謝試験を行いました。大学4 年の男子学生をつかいまして、いろいろ調べたわけです。

ビスケットにキトサンを入れまして、一枚の中に0.5 g 入っているビスケットを3 枚あるいは6 枚食べてもらいました。当時の、4 年くらい前の大学生のボランティアの血液を見ますと、総コレステロール値が190 くらいです。今言った30歳以上の人は200 を越えるのですけれど、22歳くらいの男性もすでに190 くらいあります。都会の学生でした。

ところがキトサンを1.5 g と3 g を2 週間与えますと、急激に落ちます。179 だったと思いますが、コレステロール値が下がります。やめますとまた上がってきます。

これは総コレステロール値ではないんですが、善玉のHDL コレステロールというのがありますが、これは上がった方がいいですが、それは上がります。非常に劇的にきれいな線を描きました。

キトサン、腸管内で非常に良い作用をする

また、このときはいろいろなことを計りました。呼気を計ったり、糞便も摂取しました。糞便を取りまして、腸内の代謝はどうなっているのかということを調べました。

実は、この実験はあのビフィズス菌で有名な、腸内細菌の大家の光岡先生の教室でやったのですが、そこで成人男子における糞便中の腐敗物質の変化、腸内細菌の様子を調べましたら、クロストリジウムという腐敗菌、腐敗を発生させる菌がいるのですが、悪玉菌です。それだけが少なくなっていましたが、あとの菌はあまり変化していませんでした。





いい作用だなと思っていたのですが、糞便を測定しますと、2 週間目と3 週間目で計るのですが、キトサンを与えた時期なんですが、与える前に比べるとアンモニアが、急激に落ちる。クレゾール、インドール、フェノール、スカトール、エチルフェノールという、いわゆる糞使臭の腐ったいろいろないやな臭いがありますね。こういうものが下がったわけです。

例えば、ビフィズス菌とか乳酸菌が増えると腐敗物質が減るという作用があるのですがキトサンにもやはり同じような作用があります。要は、糞便臭、悪い臭いがしなくなり、身体の中はこういう状態になっているということです。

一方で有機酸なんですが、いわゆる乳酸菌だとか、トータルVFA と言って揮発性脂肪酸なんですが、これにも臭いがあります。例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸などです。酢酸なんかは良い方の発酵で、増えている。酪酸あたりになると漬け物の臭いだとか、サイレージの臭いですが、腐敗臭に近い方の臭いになります。

それはあまり増えていないことで、両面から糞便臭、腸内での発酵に良い方向になっていることが証明されました。これが、英国の雑誌にも投稿されて、公開になりました。

以上のようにキトサンは人に与えても、実際に腸管内で非常に良い作用をすることとがわかって、我々は、さらにキトサンを他の食品に入れて継続して研究を進めているところです。


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